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益々厳しくなる中国の外国人就労ビザ(新規・更新)の実態と狙い [パスポート・ビザ・航空券]

 
 

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  前回に引き続き、今年から始まった外国人滞在ビザの改正。
 今回は具体的に、私たちの生活にどう絡んでくるかを詳しく載せて行きます。  
 
 

シニアの方の就業許可書は出にくい                               

  中国での外国人就業ビザの取得や更新が非常に難しくなっています。基本的なことを言えば、60歳以上についてはNG、58歳くらいで許可されなかったケースも散見されます(ポジションにもよります)。

  また、新卒から実務経験が2年以上無い方についてもNG。当然、留学しても中国内で働くことは法律的に出来ませんから、一旦日本に帰って経験を積む、あるいは留学前に就業経験が2年以上ある必要があります。これらは以前からのルールではありますが、扱いが厳格になってきており、理由書などを出しても許可されにくくなくなっています。


大卒以上で無いと、就業許可書は出にくい                           

  また、大学卒以上でないと原則はNG。勿論、学歴が無くても素晴らしいスキルやキャリアをお持ちの方がおられる事も重々承知していますが、如何せん中国当局の判断、こちらも極めて許可がおりづらくなってきています。

  我々の様なコンサルタントにご相談を頂いた場合、如何に彼が有能で学歴に関わらず必要な人材かということでの説明を、文書や訪問で当局に行いながら許可取得を目指す訳ですが、残念ながらやってみないと判らないのが実情。許可されない可能性も高いということしか言えない状況です(対応策としては、極力そういう赴任候補者を立てないということになってしまいます)。

  ここまでは、これまでもルールであったことが厳格に運営され、簡単ではなくなったということですが、現実問題として7月から改正されている部分では、具体的に手続きに要する期間なども延びており、運営を考えるとかなり厳しい話になってきています。


居留証の更新には実質一ヶ月近く必要                             

(1)居留許可書の申請、取得までの期間が延長(新規)

(2)居留許可の更新には15日必要(実際には15営業日が必要というケースが多い)

  これまで居留許可証の更新については5営業日程度でした。ですから、日中を往復している私でも、月曜日に出して次の月曜日には受け取れましたので、そう大きな制限を受けませんでした。ところが15営業日が必要ということは、土日をカウントしてトータルでは22日間必要ということになってしまいます。中国の場合はパスポートを預けてしまいますので、その間中国外には出られません。更に、中国内の移動も微妙になってきています。

(3)身分証の扱いが厳格化

  上海等では居留許可証の更新の場合に、要請すれば、顔写真付の臨時身分証兼パスポート預り書を発行してくれます。パスポートが返ってくる迄の間だけ通用するものですが、これをもっていると、中国内においては飛行機にも乗れますし、ホテルにも泊まれます。私自身は毎回これを取得し、中国内の移動を繰り返していました。

  稀にローカルな空港で止められるケースもありましたが、ホテルも含め、最終的には問題なく通用してきています。実は、これはエリア毎に扱いが違っているケースがありまして、内陸の一部などの写真を付けないエリアなどでは飛行機に乗ることができません。

  何れにしても、こういう救済措置の様な物がある訳ですが、この身分証の扱い自体が厳格になってきており、中国国内でもエリアによっては、パスポート原本でないと駄目だというケースが出ています。つまり、臨時身分証では中国内移動が出来ない(飛行機に乗れない。ホテルに泊まれない)場合が出てしまうということです。


Fビザでの不法就労は絶対に駄目                               

  更に、身分証の扱いの厳格化という部分には、当然、就労ビザの扱いも含まれます。これまでZビザ(就労ビザ)が取得できず、Fビザで働いているグレーゾーンの方々もおられる様ですが、商業目的の訪問者はMビザに統一されます。
こういうところの扱いは今後極めて厳格になるとの事です。

  ご存知の様に、Fビザは商用にも使えるビザ(視察、商用、研修等)ではありますが、中国内で給与が発生しなくても業務を行う場合は就業許可が必要になるというのが原則です。あくまで進出調査などの日本法人の業務で現地給与は発生しないと言う前提でのFビザなら結構ですが、くれぐれも慎重に対応して下さい。


再入国禁止措置は最長で10年                                 

  特にこの規定については罰則についても厳格に扱うということでして、再入国禁止措置の対象になります。再入国禁止措置は最長で10年。くれぐれも不法就労に当たることの無いようにして下さい。特に申請すれば良い話を、知らないが為に放置し再入国禁止ということでは悔やみきれませんね。


政府としては中国人の雇用を増やしたい                            

  こうした中国の措置ですが、その狙いは何かと言えば、高いスキルや学歴、経験、ポジションを必要とする職種でないのなら、中国人を採用して下さいということです。企業としては外国人就労も勿論必要でしょうが、それは総経理等のトップマネジメントやどうしても必要なスキル保有者だけで良いでしょうということですね。

  少し話題が変わりますが、現在は中国各地で外国人の社会保障費徴収も進められています。一時的に外国人が赴任した場合には殆ど使えない社会保障であり、外国人に適用すること自体に無理があると思いますが、これ自体は中国の年金制度などがやっていける状態に無く、取れるところからお金を取りたいというのが主な目的です。結果的にこういうことも外国人雇用のコストを大きく押し上げます。

  こういう施策も踏まえて、彼らの本音は、外資には撤退させずに現地化を進めさせ中国人の雇用を増やさせたいという事です。特に、現在の中国は景気が悪くなってきており、雇用も落ちてきています。中国の大学生の就職などは壊滅的(もともと、経験者が優遇されますし。新卒が大量に採用される日本のモデルとは違う前提というのも有ります)、汚職の問題、環境汚染、食の安全の問題、そして失業率の高まりと国民の不満は高まっている訳です。そうとなれば、国民に受けの良いことをやりたいし、中国内の中国人の雇用についても配慮しているというプレゼンテーションもしておきたい所です。

  更に、そうやって現地化を進めさせることで、中国内へのノウハウの定着外資のコントロールについてもやりやすくなる訳です。もっと大きな将来的な布石も踏まえた上での措置であり。現時点での対応と超長期での国内企業活性化なども睨んだ戦略の一環です。


うっかりミスをなくすこと。必要な条件を把握しておくこと                   

  こういう背景も踏まえた上で、きちんと必要な手続きを行い、うっかりしたというような事でリスクを招かないことが大切ですね。更に、中国側に様々な思惑が有るにしても、ルールも有りますし、外資投資はウエルカムな訳ですから、必要な人材についての就業ビザは粛々と進めるということと同時に、その人選時においても中国のルールを通過できる条件を備えているかのチェックが大切です。

  また、中国で働きたい、現地に根付いている日本人や、中国の奥様がおられ中国内から出たくない日本人の方などもたくさんおられる訳ですから、そういう方々の活用というのも有効な選択肢だと思います。
  
 
 
 

タグ:中国ビザ
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